進行中のデータ収集プロジェクト

Hypermaterial:準結晶プロジェクト

担当:藤田絵梨奈

準結晶(Quasicrystal: QC)は、原子が規則的に並んでいるにもかかわらず、周期的な構造(並進対称性)を持たないという特殊な物質群です。正五角形を5回対称に敷き詰めたペンロース格子が有名ですが、このほかにも正二十面体を空間に敷き詰めた3次元準結晶などがあります。
準結晶の持つ周期は「準周期」と呼ばれ、X線や電子線を当てるとはっきりとした回折パターンが現れます。この準周期構造は6次元空間で表現され、フィボナッチ数列などのさまざまな数学概念と関連しています。一方、バンド理論などの固体物性の基本概念は、並進対称性を前提としたものばかりです。このため、準結晶の中で電子がどのように振る舞うかは固体物性における大きな謎となっています。
本プロジェクトではその謎を解明するため、準結晶の電気抵抗率や磁性の温度依存性の実験データのグラフを集めています。関連物性として、磁化ヒステリシス曲線や比熱、ホール係数などの実験データも集めています。また多くの準結晶には、原子の局所クラスター構造がほとんど同じでありながら、並進対称性が存在する「近似結晶(Approximant crystal: AC)」もあります。このため本プロジェクトでは、準結晶と近似結晶をまとめてハイパーマテリアルと読んで、同時にデータを収集しています。
ハイパーマテリアルのデータは、科研費新学術領域「ハイパーマテリアル」の開始に伴い、2019年4月頃から本格的に収集を開始しました。

Hypermaterialプロジェクトの実験データと、結晶性物質(熱電材料、単体金属)との比較

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